第12章 gift
「さてと、俺たちも出掛けるか」
「はい」
その時雅紀からLINEが届いた。
『紙袋の中にブーツとバッグも入ってるよ
ブーツは大野さんに合わせてローヒールにしておいたから、背の高い彼女じゃ大野さん可愛そうだからね』
思わずくすっと笑ってしまった。
「どうした?」
「あ、いえ、雅紀から靴とバッグも用意してあるって」
紙袋からバッグと靴を取り出した。
バッグはフェイクファーで作られたバッグ…こんな可愛らしいバッグ持つの恥ずかしいけどこの服装に合うバッグを持ってないからしょうがないか…
荷物を詰め替えバッグを手に持ち立ち上がった。
振り返ると智さんの嬉しそうな顔。
「可愛いね」
「やっぱり可愛すぎですよね?このバッグ」
「ううん、可愛いのは翔だよ」
智さんが手を差し出して来たからその手の上に手を置いた。すると指を絡ませるように繋いできた。
「行こうか」
ニコッと笑う智さん…いつもと違う手の繋ぎ方にそれだけでドキドキしてしまった。
ブーツを履き外に出ると少し風が冷たい…更に履きなれないスカートのせいで体がブルッと震えた。
「寒い?」
「スカートだからスースーして」
「そっか…じゃあ少しでも暖まるように腕組もうか」
智さんが繋いでいた手を離し腕を俺の方に出した…俺はちょっと躊躇いながらもその腕に腕を絡めて智さんと体を寄せた。
智さんを見ると満足した笑顔を見せる。
「さてどこ行くかな…急だったから何も決めてないよな」
「だったら普通にデートしませんか?その辺散歩してカフェでランチして…このまま少し歩きたい」
「そうだな、せっかく外でくっついていられるんだそれを楽しまなきゃな」
「そうですよ」
「それならまずあそこ行くか」
「あそこ?」
「コーヒーの旨い店」
智さんがニヤっと笑った。