第12章 gift
智さんが喜んでくれてる、でもそれって…
「翔?どうした?」
「翔ちゃん、なんで泣いてるの?」
「やっぱり嫌だった?女装なんて…大野さん喜んでくれるかと思ったからつい張り切っちゃったんだけど…」
智さんが喜べは喜ぶほど悲しくなった…
「…智さん、やっぱり女性の方がいいんですね…」
「あぁもう違うから…ふたりで外出掛けても手とか繋げないじゃん、でも翔が女装してれば外でも普通にデート出来るんだと思ってさ…誰でもいい訳じゃないよ?翔じゃなきゃ駄目だし、男が女装してるってバレバレても翔が嫌だろ?でも今の翔は誰が見ても綺麗な女性だから、翔も安心して外に出掛けられるかなって思ったんだよ」
智さんが眉毛を下げて困った顔をして俺の涙を拭いてくれた。
「俺と外でデート出来るから喜んでくれたんですか?」
「そうだよ?」
「良かった…」
「もう、なんでお前はいつまで経っても自信持てないかな…俺を夢中にさせるのはお前だけなんだって…」
「だって…智さん、凄い嬉しそうなんだもん…」
「そりゃ嬉しいよ、こんな美人と外でイチャつけんだぞ?」
優しい瞳で見つめてくれる智さんが近づいてきた。
「智さん…」
そっと目を閉じるけど智さんの唇が触れてくることはなくて、目を開くと苦笑した智さんの顔。
「翔、ごめん…こいつらの前じゃ無理だ…」
「えっ?」
ふと、視線を感じ下を見ると二宮さんと雅紀がしゃがみ込んでニヤニヤと俺たちを見上げてた。
「あっ!」
顔が一気に熱くなる。
「なんだぁ、残ね~ん…翔ちゃん可愛かったのに」
「大野さんそこはいかなきゃ~男じゃないなぁ」
「そんなガン見されて出来るか……」
「んふっ、しゃあない帰るか雅紀」
「そうですね、俺たちもお家デートしましょ?あ、翔ちゃんその服プレゼントね?また使って?」
ん~、使うかどうかはわからないけど好意はいだだいとこう
「ありがと」
「じゃあ、楽しんできてね~」
そう言ってふたりは帰って行った。