第12章 gift
結局ふたりに押しきられ言われる通り着替えていった。
「じゃあ俺、智連れて来るね」
二宮さんが部屋を出ていくと雅紀は袋の中から何かを取り出し俺の頭に乗せた。
「うん!完璧!」
嬉しそうに笑う雅紀。手を引かれ姿見の前に立たされる。
目の前にいるのは薄ピンク色した膝上丈のニットのワンピースを着てデニムのジャケットを羽織った揺るふわロングヘアーの女の子……ではなく俺。
「雅紀、これどうするの?確かにサプライズだよ?俺がこんな格好してたら智さんだって驚くけどさ、俺が言ってるサプライズってこういうことじゃないんだけど…」
「そうかなぁ…まぁ、大野さん来るの待っててみてよ」
玄関ドアの開く音がして足音が近づいてきた。
「お待たせ!智準備してないんだもん、急いで着替えさせてきたよ」
「だってお前ら何も言わずに翔連れてったんじゃないかよ…出掛けるなんて聞いてないぞ?」
「え?出掛ける?この格好で?」
智さんと二宮さんの会話を聞いて吃驚して振り返った。すると俺以上に驚いた顔をした智さんが立っていた。
「……え?翔?」
目を見開いたまま俺の顔をじっと見ている。
やっぱりおかしいよ、こんなの…居ても立ってもいられなくて目を逸らして俯いてしまった。
「…可愛い…」
ボソッと呟く智さんの声が聞こえた。
「でしょぉ?どおよ、俺のメイク完璧でしょ?」
「ニノが化粧したの?すげぇ…そこら辺の女より全然綺麗…」
智さんの顔が嬉しそうな笑顔に変わっていった。
「どうです?俺たちからのサプライズプレゼント気に入って貰えました?」
「おう!すっげぇ気に入った…」
智さんは近づいて来るとそっと俺の頬に手を添えた。
「サイコーのプレゼントだよ…」