第12章 gift
風呂場に逆戻りすると雅紀にスエットを捲り上げられた。
「何するの?」
「いいから、ちょっと大人しくしててね?」
「え、え、なに?それ、どうするつもり?」
雅紀が手にした物で俺の足を撫でていく。
「ちょっ!なにしてんの!」
「いいからじっとしててよ、今止めたらかえっておかしくなるよ?」
そう言われ大人しくされるがままにしていた。
「はい終わり、今度はリビングで準備するよ」
なにがなにやらわからず雅紀の後に付いてリビングに戻った。
「和さん?大丈夫?和さんの出番なんだけど」
「うん、任せて」
ニコッと笑う二宮さんはさっきまでの色っぽさは消えていた。
「翔ちゃん、ここ座って?」
二宮さんが座ってる隣に座った。
「じゃあ、いいって言うまで目つぶっててね?」
「はい」
なんだか顔をいじられてるけど…
「はいいいよ、目開いて…」
ゆっくりと目を開くと雅紀の驚く声が
「うわ!思った通り、さすが和さん」
「ふふっ、いい出来だろ?絶対智喜ぶよ」
「ですね…さ、仕上げいきますか」
二宮さんと雅紀がニコニコ笑ってる。
雅紀が袋から色々と取り出した。
「はい、翔ちゃん…これ着てね?」
雅紀が広げた洋服、それは…
「え、これ…嘘だろ?」
「嘘じゃないよねぇ」
「ですよねぇ」
向かい合って微笑むふたり。
いや、あり得ないから…
なかなか動かない俺を見て、二宮さんが悲しそうな顔をした。
「…翔ちゃん、ダメ?俺、頑張ったのに…気に入らない?そのメイク」
メイク?俺化粧してるの?
「ほらぁ、見てよ翔ちゃん…ぜーっ対似合うから」
雅紀が俺の目の前に鏡を出した。
「え…これ、俺?」
鏡の中には俺の知らない俺がいた…