第12章 gift
着替えてリビングに行くと大荷物を持った雅紀がいた。
「おはよ、翔ちゃん」
朝から爽やかな笑顔だな。
「おはよう、どうしたの?こんな早くに」
「え、言ってあったでしょ?1日予定押さえといてって」
「言ったけどこんな早い必要あるの?しかも智さんの家来ちゃうし」
「だって、翔ちゃんにLINE送ってるのに既読つかないんだもん」
「え、そうだったの?ごめん…」
携帯を確認すると確かに『8時に行くね』というメッセージが送られて来てた。
「はぁ~、お前らさぁ毎度毎度よく考えるよなぁ」
智さんは呆れた顔をしてふたりを見返した。
「え~?なんのことぉ?」
「惚けんなよ…LINE夕べの内に送っておけば良かっただろうが、なんだよ送信時間5時って…こんな時間に送ってきて見るわけないだろ」
「朝起きてから見るかと思ったんですよ」
「もう8時だよ?起きてたって全然おかしくないよなぁ?」
「ですよねぇ、誕生日なのにこんな時間まで寝てるなんて勿体ないですよねぇ」
「でもまぁ翔ちゃん疲れてるみたいだし?智の責任だよねぇ」
「当然と言えば当然かぁ、誕生日ですもんねぇ…それ理由にやりたい放題ですよねぇ、大野さん」
二宮さんと雅紀がニヤニヤしながら智さんの事を見ている。
「もういいわ…で、用件は?」
「そんな顔するなよ、お前の為に雅紀がお祝いしに来たんだろうが」
「そうですよ、翔ちゃんがサプライズでお祝いしたいって言うから」
「ある意味サプライズだけどさ、嬉しくないぞ?」
「違いますよ、これからがお祝いです…ちょっと翔ちゃん借りますよ?」
「は?なんで?」
「お祝いの準備手伝ってもらうので」
雅紀がニコッと笑うと俺の方を見た。
「翔ちゃんの部屋貸して?」
「う、ん…いいよ…」
智さんにばらしちゃってなんだか全然サプライズ感がない気がするけど…雅紀に任せるしかないか。