第12章 gift
翌日会社に着くと雅紀に手招きされた。そのまま廊下に出て自販機のあるスペースまで行く。
「おはよ雅紀、どうかした?」
「おはよ~翔ちゃん。あのさぁ、和さんから聞いたんだけど、大野さんの誕生日プレゼント悩んでるんだって?」
「あぁ、うん…何か特別な事したいんだけど、俺そういうのしたことないから」
そう言うと雅紀はニコッと笑った。
「だったらさぁ、俺に任せてみない?」
「何かある?いいアイデア」
「あるよ~、大野さんスッゴく喜ぶと思うなぁ」
「ほんと?だったらお願いしようかな?」
この時俺は雅紀の考えてることが全くわからず
智さんにサプライズが出来たらいいな、という思いだけでお願いしてしまった。
「任せて~。あ、でもキャンセル効かないからね?後から止めるとか言わないでよ?」
「うん、言わないよ。だって智さん喜んでくれるんでしょ?」
「もちろん!俺だったら、感激して泣いちゃうかも」
「じゃあいいよ。雅紀のこと信じてるから」
「ありがと、翔ちゃん。信用してくれて嬉しいよ」
爽やかな笑顔を見せる雅紀を、これっぽっちも疑うことなく契約を結んだ。
「大野さんの誕生日、日曜日でしょ?
せっかくだからさ、1日楽しんで貰いたいんだよね」
「1日中?そんな大掛かりなことやるの?」
「大掛かりではないよ。ただ1日中楽しんで貰うだけ」
「ふ~ん、わかった。智さんのスケジュール確認しておく」
「お願いね?じゃあ戻ろっか」
「うん」
「いや~、楽しみ~」
雅紀がやたらと嬉しそうにしてたけど、あまり気にも止めずにいた。
当日になって思い知ることになる…いつも智さんが雅紀と二宮さんには敵わない、って言ってる意味を…