第12章 gift
家に帰る途中智さんと一緒にスーパーに寄って買い物をする。
「今日は何にしよっか?」
「ん~、ハンバーグとか?」
「うんいいね、ニノが好きなんだよな、ハンバーグ」
二宮さんと話したことを思い出した。
『ん、ちょっとね、最近恥ずかしいこと要求するときあるから、智もそうなのかなって…』
「翔?どうかした?顔赤いぞ」
「いいえ!なんでもないです」
「そっか、じゃあ早く買い物して帰ろ」
「はい」
マンションに着くと荷物を置くために一度自分の部屋に戻る。
智さんの1つ下の階でエレベーターを降りた。
「じゃあな、早く来いよ」
「着替えたらすぐ行きますね?」
「ん、待ってる」
笑顔で言われドキンとする。
何度見ても智さんの優しい笑顔にはドキドキさせられるんだ。
家に帰りルームウェアに着替えるとすぐに部屋を後にした。
最近はこの部屋に荷物を置きに帰るくらいで殆ど居ることがない。
この部屋で寝るのは智さんが得意先の接待で帰りが遅くなる時と俺が遅くなる時くらいか…
ここに越してきたばっかりの時はちゃんと部屋に帰って来て寝てたんだけど、段々と智さん部屋に泊まることが増えていった。
あの社員旅行以降は一緒に住んでるんじゃないかと思うくらい智さんの部屋に居る。
すぐに俺が行くことがわかってるから智さんは玄関の鍵を掛けずにいてくれる…んだけど。
「お邪魔します」
玄関のドアを開けると不機嫌な顔をした智さんが立っていた。
「またぁ…」
「あ、ただいま…」
そう言うと嬉しそうに微笑んで両手を広げる智さん。
「おかえり」
智さんの前に立つとぎゅっと抱きしめられてチュッとキスをされる。
嬉しいんだけど、何度されてもテレてしまう…
「なんでかなぁ…エッチする時は俺の事誘うような表情するのに」
智さんが真面目な顔してとんでもないことを言う。
俺ってどんな顔するの?自分じゃわからないよ。