第11章 幼馴染みのアイツ
「さてと、じゃあ俺は帰るかな…ちゃんと戸締まりしなよ?」
雅紀が俺の頭をポンポンと叩く。
「あっ、ちょと待って」
「ん?何?まだどこかわからないとこあった?」
「そうじゃないんだけど…」
やっぱり恥ずかしくて言い淀んでしまう。
「どうしたの?」
爽やかな笑顔を見せる雅紀…ほんとに我慢してるのかな…こんな風に笑顔を見せられるとそんな事を考えてるなんて思えないんだけど…
でも、俺は雅紀に触れたいよ…
「あのさ、雅紀…今日泊まってかない?」
雅紀は少し驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔になった。
「なに?ひとりで寝るの怖いの?お子ちゃまだね」
俺を子供扱いする雅紀…なんだよ、我慢してるんじゃなくてそういう対象として見てないんじゃないか…大野さんの嘘つき。
「やっぱりいい…おやすみ雅紀」
「和?」
明らかに不機嫌になる俺…やっぱり子供だよな。
でもさたった一歳差だよ?そんなに大人なの?あのふたりは高一でしてるんだよ?ただ単に雅紀の好きな気持ちが足りないだけなんじゃないの?俺に触れたいと思う気持ちが無いんじゃない?俺は雅紀に触れたくて仕方ないのに。
「もういい、帰れよ!もう雅紀の気持ちはわかったから」
俺は雅紀の背中を押して部屋から追い出した。
「和…開けて」
ドアの外で雅紀の声が聞こえる…でも俺は悔しくて開けてやることが出来なかった。
階段を降りる雅紀の足音が聞こえた。