第11章 幼馴染みのアイツ
「こんにちは、和くん」
「いらっしゃい櫻井さん、大野さん…ごめんね?呼び出しちゃって」
「気にしなくていいんだよ?和くんが合格する為ならいくらでもお手伝いするからね?」
「ありがとう、櫻井さん…でも大野さんは迷惑じゃない?」
「ん?俺?俺は翔といられるならどこでもいいから問題ないぞ?寧ろ俺が付いて来ちゃって申し訳ないくらいだけど、いつもおやつ出して貰っちゃってるし」
「そんなの全然気にしないでよ、タダで勉強教えて貰ってるんだから…ほんとだったらバイト代払わなくちゃいけないくらいなのに」
「それこそ気にしないで?友達に勉強教えるのにお金なんて貰わないでしょ?」
「友達?」
「うん、もう俺と和くんは友達だよね?」
「いいの?俺なんかが友達で」
「勿論だよ、受験終わったらゲームやろうって約束したじゃない、それって友達でしょ?」
「うん、ありがと…」
「俺こそありがと、こんな可愛い子と友達になれて嬉しいよ」
「翔も可愛いけどな」
「もういいから智くん…」
恥ずかしそうに笑う櫻井さん…『もういいから』なんて言ってるけどさ、ほんとは嬉しいんでしょ?
はっきりと想いを言葉にする大野さん、櫻井さんが綺麗なのは大野さんのお陰だと言っていた雅紀の言葉の意味がよくわかる。
「で?どこがわからないの?和くん」
「あ~、えっと…」
「どうしたの?わからない所がわからなくなった?」
「いや、じゃなくて…俺がわからないのは雅紀の気持ちと言うか…」
「雅紀の気持ち?そんなのわかるでしょ?雅紀は和くんのこと大好きだよ?」
「ほんとにそうなのかな…」