第11章 幼馴染みのアイツ
ファミレスに入り雅紀と向かい合うとさっきまでの事が思い出されて恥ずかしくなった。
きっともうバレてるよね…俺の気持ち。
チラッと雅紀の顔を見るとニコニコと俺を見て笑っている。
「…なに笑ってんの?」
ぶっきらぼうに言い放つ俺…相変わらず可愛くないよな…
「ん?何でもないよ?ただこうして和とふたりきりって久し振りだから嬉しくて」
雅紀はずっとそうだった、可愛いげのない俺を優しい瞳で見続けてくれて…俺はそんな雅紀が大好きになったんだ。
「櫻井さんって綺麗だよね…」
俺も櫻井さんみたいに綺麗で優しかったらもっと自信が持てるのに。
「ん、そうだね…俺も初めて見たときは男のクセに綺麗だなって思ったよ」
「近くにいて好きにならなかった?」
「ならないよ~、だって翔ちゃんを綺麗にしてるのは大ちゃんだし、俺には他に大切な人がいたし」
ニコって俺に笑い掛ける雅紀…俺自惚れてもいい?その笑顔を見せてくれるのは俺にだけだって。
こんなに可愛げないやつだけど、見放さないでくれるのは雅紀が俺のこと大切な人だって思ってくれてるからだって。
「あのさ、雅紀…」
「ん?」
「雅紀の大切な人って…」
答えを聞くのが恐くて、最後の言葉が出ない。俯いてしまった俺…
「決まってるでしょ?和だよ?」
俺の大好きな優しい瞳と、優しい声が俺だけのモノになった…