第11章 幼馴染みのアイツ
本屋に着いて参考書を選んで貰った。櫻井さんは成績トップと言うだけあって参考書選びの時は真剣そのもの。さっきまでの雰囲気とは全く別人で参考書を手にしてはペラペラとページを捲る。
「和くん、これ辺り良いと思うんだけど…雅紀に聞いたらそこそこ点数取れてるみたいだし、後は難題に挑戦した方が良いと思うよ?わからない所があれば俺教えるから雅紀に言って?いつでも教えに行くから」
優しい微笑みを浮かべる櫻井さん…こんな綺麗な人が雅紀の側にいたなんて、俺望みないじゃん…
「ありがとうございます」
櫻井さんの手から参考書を受け取りレジで会計を済ませる。
「和、少しくらい時間大丈夫だろ?」
「なんで?」
「和と外出歩くなんて久し振りだから昼メシ一緒に食べようよ…俺奢るから」
「雅紀優しい~」
笑顔で雅紀を見る櫻井さん。
「だろ~?」
得意気に櫻井さんを見る雅紀。
ふたりのやり取りがとても気があってる感じがして俺の居場所がない。
雅紀と外出は確かに久し振りだったけど、ふたりきりが良かったな…雅紀と櫻井さんが一緒にいるところをこれ以上見ていたくない。
俺と櫻井さんの違いを嫌でも見せつけられる。
「…いい、俺帰る…」
俯いてそう言うのが今の俺には精一杯…ふたり並んで立っているだけで様になっている。櫻井さんが良い人であればあるほど俺の胸は苦しくなってきた。
振り返り走り出した…前を見ていなかったせいで横道から出てきた人とぶつかってしまった。
「おわっ!」
相手の人の驚く声が聞こえた。