第11章 幼馴染みのアイツ
綺麗な笑顔を見せ丁寧に挨拶をする櫻井さん。
俺と違って大人だな…雅紀と同級生ってことは俺のいっこ上だろ?俺とは大違いだな…
「はじめまして二宮です…」
「可愛いね、和くん」
「だろ?」
ふたりで微笑み合ってる姿を見て悲しくなった。
「ごめん雅紀、俺ひとりで行くわ…お邪魔みたいだし」
歩き出した俺の腕を雅紀が掴んだ。
「え、なんで?邪魔なんかじゃないよ?」
「だってふたりで待ち合わせしてたんだろ?」
「それはそうだけど、でも和がいた方が都合いいから」
「は?なんで俺がいた方がいいの?」
「今日はね、雅紀に頼まれたんだ、参考書探すの付き合ってくれないかって」
「なんで雅紀が参考書?」
「あ、えっと、この前和に会った時、『勉強捗ってる?』って聞いたでしょ?そしたら和が『まあまあ』って言ってたから何かいい参考書無いかな?って翔ちゃんに相談したの。翔ちゃんうちの大学で成績トップだからさ、俺が選ぶよりいいかなって思って」
「え?じゃあ俺の参考書選ぶため?」
「そうだよ?だから和がいた方がよりいいかなって、今日も和誘うか迷ったんだけど、お前外出嫌いだろ?しかも受験生だから勉強してた方がいいのかなって思って」
「だからね?和くんも一緒に行こう」
そう言って微笑む櫻井さんはやっぱり綺麗だと思った。俺の参考書選びって口実なんじゃないかって疑いたくなる。