第10章 最愛のひと
メシを食い終わると翔は風呂の準備を始める。
「智、一緒に入ろうよ」
「は?なんで」
「たまにはいいじゃん、スッゴい広いし綺麗だよ?」
翔に手を引かれ風呂場に連れていかれる。
服を脱ぐと後ろから翔が抱きついてきた。
「智…」
首筋に吸い付く翔…
「翔…風呂入ってからにしろ」
「早く欲しい…」
「なんだ?欲求不満か?新婚のクセに」
「智じゃなきゃ駄目なんだよ…」
「まさか、ねぇちゃんとシテねぇなんて事ないよな?」
「してるよ…智だと思ってね」
「お前!」
「ごめん、智の姉さんなのに…でもそうでも思わないと出来ないんだよ」
翔の表情は見えない…けど苦しんでるのは声でわかった。長い付き合いだもんな。
「翔…風呂入ろ、その後好きなだけ抱かせてやる」
「…うん」
今度は俺が翔の手を引き浴室に入った。
泡のついた翔の手が俺の体を這い廻る。
「あぁ…しょ、お…」
「智…愛してる…」
そう愛を囁く翔の顔は哀しみが浮かんでる…なんでそんな顔してんだよ…今までそんな顔で俺に触れたことないだろ。
俺は翔の首に腕を回し深くくちづけた。
浴槽に入り後ろに座る翔に体を預けた…優しく髪を撫でる翔…その手から俺への愛しさが伝わってくる。
「ずっとこのままでいられたら…」
翔の小さな呟きが聴こえた。