第9章 as it is
「ん、あ、おはようございます…和さん」
寝起きから爽やかな笑顔で挨拶をする。
「おはよ、じゃなくて!なんでここにいるんだよ!」
「和さん昨日寝ちゃったから送ってきたんですよ」
「そうなんだ、悪かったな…でもなんでここで寝てんだよ」
「え~、だって和さんが離してくれなかったんじゃないですかぁ」
「は?俺が?」
「そうですよ…俺にしがみついて離れてくれないから仕方なく泊めて貰ったんです」
嘘だろ?この俺が雅紀にしがみついてた?思い起こすと確かに何か暖かい物に包まれて気持ち良かったような…
「ごめん…」
さすがに申し訳なくて視線を落とした。
「いいえ、俺は全然いいんですけど…また新たに可愛い和さん知ることが出来たし」
雅紀の嬉しそうな声が聞こえ、チラッと雅紀を見るとニコニコと笑っていた。
「お前さぁ、夕べ櫻井に色々注意してたけど、お前も気を付けないと人に誤解を与えるぞ?」
「どこがですか?」
「だからぁ、さっきみたいに人の事を『可愛い』なんて言ったら相手が勘違いするだろ?男の俺だからいいようなもんだけど女性なんかが言われたら『あ、この人私の事好きなんだ』って絶対思うぞ?」
「思いませんよ」
「なんで言い切れるんだよ」
「だって俺が可愛いって言うの和さんと翔ちゃんだけだし」
「えっ?皆に言ってんじゃないの?」
「言いませんよ~!俺正直もんですもん、思ってもいないこと言えませんよ」