第9章 as it is
「あ~、そういえば智が櫻井の事可愛がってるって言ってたもんな…確かに大分お気に入りみたいだな、櫻井を見る智の目が優しい」
「ですよね?俺の好きな翔ちゃんを可愛がって貰ってるんだから、一度ゆっくり話してみたいんですよ」
『好きな翔ちゃん』…そっか、こいつは好きな奴が多いんだ…きっと俺もその中のひとり…でも櫻井の事は特別なんだよな…だから気になるんだろ?櫻井と智の仲が。
「わかったよ、智に伝えておくよ」
「ありがとうございます」
雅紀の嬉しそうな笑顔を見てなぜか心が痛んだ…
智と櫻井を誘い4人で飲みに行った。
雅紀は相変わらず人の懐に入るのが上手い、プライベートではあまり人付き合いのいい方ではない智も楽しそうに飲んでる。
雅紀と智が櫻井の事を心配だと意気投合して話している。
『櫻井は人が良すぎ』とか『翔ちゃんは素直すぎ、騙されないようにしなよ』とか俺には縁遠い言葉だな…
ついつい酒が進んでしまったようで、ふらふらっとトイレに立ち上がったら、そのままトイレの個室の中で眠ってしまった…
誰かが俺を呼ぶ声がする…優しい声…あぁこの声落ち着くなぁ…暖かな温もりを感じながら更に深い眠りに落ちていった。
目が覚めると俺の部屋?どうやって帰ってきたんだ?
背後に人の気配を感じ慌てて体を起こした。
「へ?ま、さき?」
気持ち良さそうに寝ている人物は雅紀にしか見えないんだけど、どうして?