第9章 as it is
顔が一気に熱くなるのを感じる。
「ほら、可愛い…和さんって普段口悪いですけど、それって照れ屋なだけなんですよね…自分の素直な気持ち隠したくて敢えてキツい言い方をする…見てて可愛いって思いました」
「まだ会ってから1週間位しか経ってないのに俺の何がわかるんだよ」
「わかりますよ?俺、人と話すの好きだから最初に話した時点で大体わかるんです…ほぼ第一印象から外れた事ないですから」
「…俺の第一印象ってどんなだよ」
「だから言ってるじゃないですか、照れ屋で可愛い人…ほんとは甘えたがりなのにそれを表に出せない人」
「そんなのお前が勝手に言ってるだけだろ」
「かもしれませんね?でも俺にはそう見えますよ?今も素直に気持ちを出せなくて強気な発言をしてる」
自信満々に俺を真っ直ぐに見つめる雅紀の瞳…その瞳に映ってる俺…
あ~、俺今こんな表情してんだ…雅紀じゃなくてもバレバレじゃん。
恥ずかしくて俯いた俺に雅紀が近付いてきた。
「和さん…俺の事好きでしょ?」
「…嫌いじゃない」
天の邪鬼な俺の最後の悪あがき…
雅紀の唇が俺の唇にそっと触れた。
「やっぱり可愛い」
満面の笑みで雅紀が俺を抱きしめた。俺もそっと雅紀に抱きつく。
「和さん、大好きです」
俺の好きな声が耳元で聴こえる。
「…俺も」
雅紀の腕に力が籠った。
「痛いよ、ばか!」
「はははっ、ごめんね和さん」
楽しそうな笑顔とともにやって来た雅紀の唇…
雅紀なら素直じゃない俺を受け止めてくれる…第一印象じゃないけどこの予想は外したくない、そう心から思った。
End