第9章 as it is
『ライバルは少ない方がいい』発言をしてからの雅紀はとにかく俺の事を聞きたがった。
好きな食べ物から、誕生日、住んでる場所、休みの日の過ごし方…ちゃんと答えるまで同じ事を繰り返して聞くから面倒くさくなって雅紀の質問には1度で答えるようになった。
その度に嬉しそうな笑顔でうんうんと頷く雅紀を見るのは嫌いじゃなかった。
そして考える、雅紀の言ったライバルってどういう意味だったんだろう、って。
あいつにとって俺ってどんな存在なんだ?
まだ出会って間もない俺をあいつは可愛いと言った。
見た目はわかる。自慢じゃないがそれは今までも言われてきた、でも大抵その後に続く言葉は『でも性格がなぁ』そんな事人に言われなくたってわかってる、こんなひん曲がった性格の奴もそうそういない…それなのにあいつは…
「和さん、どうしたんですか?俺の顔、なんか付いてます?」
「うわっ!」
気が付いたら雅紀の顔が目の前に…
「そんな驚かなくても…人の顔ずーっと見てるから見とれられてるのかと思っちゃいましたけど、ボーッとしただけなんですね?残念」
「な、なんで俺がっ!お前の事なんて見とれるわけないだろ」
「そんな思いっきり否定しなくても大丈夫ですよ、わかってますから」
爽やかな笑顔で答える雅紀、その笑顔を見る度に心臓がトクンとなる…なんで俺はこんなに可愛げないんだろう。
「あ、そうだ、和さん…大野さんと翔ちゃん誘って飲みに行きませんか?」
「なんで?」
「ん~、あのふたりの様子が気になるから」