第8章 Lovers
「駄目だなぁ、いつでも出来るように準備しておかないといざって時に困るし翔ちゃん傷つけることになるよ?」
「家には用意してあるけど、今日は必要ねぇだろ」
「甘いなぁ…雅紀は常に持ち歩いてるよ?」
「アイツと一緒にするな」
「え~?一緒でしょ~?」
ニヤニヤして俺を見る。やっぱりこいつも気がついてたんだ。自分が突っ込まれたくないからさっきは言って来なかっただけで…
「雅紀」
ニノは相葉を呼ぶと内緒話を始めた。相葉は頷くと荷物の所へ行き俺を呼んだ。
「はい、どうぞ」
手渡されたのは未開封のボトルとゴム。
「お前、どんだけ用意してんだよ」
「だって無くて和さん抱けなかったら悔しいじゃないですか…いくらあっても困るもんじゃないし、すぐ無くなっちゃいますしね?」
「やっぱ、お前すげぇよ…」
昔から男女どちらでもイケると言ってただけあって経験値が俺とは比べ物にならない。
「ふふっ、褒め言葉と受け取っておきますね」
そう言って立ち上がるとニノの元へ歩いて行った。
「お待たせしました、行きましょ、和さん」
「ん、じゃあ、今度こそおやすみ~」
「おぅ、おやすみ…色々助かったよ」
「へ~、智がお礼なんて珍しい…さすが翔ちゃんの事となると素直だねぇ」
「うるせっ!いつも礼言われるようなことしてないだけだろ」
「ははっ、それもそうだ」
ニノは手を振って部屋を出ていった。
「じゃあ、おやすみなさい」
「「おやすみ」」
相葉もニノの後を追って出ていった。
翔が部屋の鍵を締め戻って来た。
「智さん、何飲みます?」
そのまま冷蔵庫まで行きドアを開ける。
「翔は?」
「今日はもう充分アルコールは飲んだので、水ですね」
「じゃあ、俺いいや」
「え?何も飲まないんですか?温泉入ったし水分とった方がいいですよ?」
「翔の分けてよ」
「はい」
翔は納得したように笑顔を見せ、ペットボトルの水を1本持ってコップを手に取ろうとした。
「コップはいらない」
「え、いいんですか?」
握ってたコップを戻し俺を見た。
「うん、大丈夫」
俺の隣に座りキャップを開けるとペットボトルを俺に差し出す。
「どうぞ」