第8章 Lovers
宴会が終わりやっと部屋に戻って来られた。泊まりでの飲み会だと帰りの足の心配がないからなかなか終われないんだよなぁ。
「あ~、疲れた」
座るなりまたニノがそう言ったが、今回は同意見だな。
「和さんは何やってもすぐ疲れちゃいますね」
「え~?上司相手の飲みの席は疲れるでしょ~?」
「そうですか?」
「相葉って疲れるってことないの?」
「無くはないですよ、ただ最後に疲れたと思ったのがいつかは覚えてはいませんけど」
「体力バカなんだよ、雅紀は」
「そんなことないですよ、和さんが体力無さすぎなんです…だからいつも先に潰れちゃうんですよ」
「ばっ、か…お前、なに言って…」
顔を紅くするニノ。やっぱり主導権は相葉なのか…
「大野さんと翔ちゃんは?疲れちゃいました?」
「ううん、俺も平気だよ?」
翔はあんだけ上司に付き合わされたのにケロッとしてる。意外とこいつも体力あるんだよな…それとも若さなのか。
「疲れてないなら温泉行ってくれば?まだ入ってないでしょ?」
「うん、まだ…」
「気持ち良かったよ~、行ってきなよ」
「あ、うん…」
ちょっと躊躇い気味な翔…温泉入りたくないのかな?風呂が嫌いな訳ではないしな…どうしたんだろう…
「翔、温泉嫌い?」
「…いいえ、嫌いじゃないです」
「じゃあ、行こっか」
「…は、い」
なんだ?やっぱりいい顔しないな…
それでも風呂へ行く準備を始めた翔。
「大野さん」
相葉に小声で呼ばれ振り向くと
「はい、これ」
ホテルの部屋の鍵を差し出された。
「その部屋、さっき言ってた部屋です。和さん少し休ませるんで先に使ってください」
「悪いな…ありがたく使わせて貰うよ」
鍵を受け取り、礼を言った。
「どうぞ、ごゆっくり…」
荷物を持った翔が近づいてきた。
「智さん、お待たせしました」
「じゃあ、行ってくるわ」
「いってらっしゃ~い」
笑顔で見送られ翔とふたり部屋を出た。鍵に付いてる部屋番号を見ると上の階だったからエレベーターホールで上のボタンを押すと翔が不思議そうに俺を見た。
「智さん、大浴場は下ですけど?」
「ん?あぁ、いいんだよ上の階で」
「上って温泉有りませんよ?」
「いいから、行くぞ」
不思議そうな顔をしたまま翔は付いてきた。