第8章 Lovers
大広間で宴会が始まると翔は女性社員だけでなく男性社員にまで捕まった。
新入社員だから上司にお酌に回るのは社会人として当然の姿なんだけど、ご丁寧に笑顔で一人一人話を聞いているから一向に自分の席に戻ってこない。
「翔ちゃん捕まってますねぇ」
相葉が可笑しそうに笑った。
「なんでお前はここにいんだよ?お酌してこいよ」
「え~、俺ちゃんと行ってきましたよ?翔ちゃんは嫌な顔しないで上司の昔話聞いちゃうから行くとこ行くとこ捕まっちゃうんですよ」
「お前も少し話聞いて来いよ」
「嫌ですよ」
「可愛げない新入社員だな」
「そんなこと言っていいんですか?」
「なんでだよ?」
「さっき言ったでしょ?悩み解決してあげますって」
「言ってたけど…お前俺の悩みなんだかわかってんの?」
「勿論わかってますよ?だって俺も同じですもん」
「何が」
「悩みです」
ニコッと笑うと俺に近寄り周りに聞こえないような小さな声で話し出した。
「俺も和さんの綺麗な肌、誰の目にも触れさせたくないんですよ」
「え?だってお前たち温泉入ったって言ってたよな?」
「入りましたよ?」
「どうやって他の奴らの目を盗んで入れたんだよ?」
「だから良いこと教えてあげるって言ったじゃないですか」
そんなこと可能なのか?
「ふふっ、俺ねこのホテルに泊まるって知ってすぐにサイトで調べたんですよ、そしたらこのホテル、部屋に露天風呂付きの部屋があったんでそこ予約しました」
「は?」
「だから、俺このホテルにもう一部屋借りてる部屋があるんですよ」
「マジでか?」
「はい、和さんに内緒で借りてたんですけど、さっき一緒に露天風呂入ってきました」
こいつ、すげぇ!そこまで先読みしてたのか…俺なんて岡田に言われるまで考えもしなかった。よっぽどニノの体、他の奴等に見せたくないんだ。
「お前、すげぇな…」
ただただ驚いてたら相葉が微笑んで
「大野さんにも貸してあげますよ」
「へ?」
「だから、ふたりで入ってください」
「え?いいの?」
「勿論!悩み解決してあげるって言ったでしょ?それに俺も翔ちゃんの体、他の人に見せたくないし」
「お前、まさかまだ翔のこと…」
「違いますよ、今は和さんだけです…それでもね、何となく嫌なんですよ…元好きだった人の体を恋人意外の人に見られるって」