第8章 Lovers
翔のことをそっと抱きしめると翔の手が俺の洋服をぎゅっと掴んだ。
「翔はさ、俺の為を思って色々悩むんだろうけど、俺のことを思ってくれるならお前がやっちゃいけないことはたった一つなんだよ?」
「…なんですか?俺がやっちゃいけないことって…」
翔から体を離ししっかりと言い聞かせるように瞳を見詰めた。
「最初に言っただろ?『離さない』って…だからお前がやっちゃいけないのは俺から離れること…お前が俺から離れていいのはお前の気持ちが俺から離れた時だけだよ」
「…智さん」
翔が俺の首に手を回し抱きついてきた。俺は翔の背中に回した腕に力を込め受け止めた。
「これから先、悩むことがあったらちゃんと俺に話せ…お前のことは全部受け止める覚悟は出来てるから…だから一人で気持ちを隠す様なことはするな」
そう言うと翔は更にぎゅっと抱きついて頷いた、
「…智さん…大好き…」
耳元で突然の愛の囁き…
「翔?」
翔が体を起こすと顔が真っ赤に染まっていた。
「だって、気持ち隠すなって…今、凄く智さんに大好きって伝えたくなったから…」
可愛すぎんだろ…これだから手放せないんだよ。俺は堪らず翔にキスをした。
「んっ!」
すぐに絡まり合う舌と舌…
「ふっ、んぁっ…」
椅子の上に押し倒し更に深いキスを続けた。
「あっ、ん、待って…智さん…」
翔のシャツに手を掛けたところで潤んだ瞳の翔に止められた。
「ここでは駄目です…」
あ、そっか、家じゃないんだ…
明日までお預けかよ…早く家に帰りてぇ~…
「そんな顔しないでください…俺だって出来ればやめて欲しくないんだから…」
そう言って微笑みながら俺の頬に手を添える翔。
そんなことされたら逆にキツいよ…この無自覚の小悪魔が…