第8章 Lovers
「食事までまだ時間あるんでしょ?俺少し寝るね…」
そう言うとニノは目を瞑り寝る体制に入った。
「少し休んだら温泉行きましょうね?」
ニノの頭を撫でる相葉。相葉…お前大分ニノのこと甘やかしてるな…
「翔、俺たちは温泉街フラフラしてこようか…」
「はい…」
「じゃあ、相葉行ってくるな」
「いってらっしゃ~い」
「いってきます」
翔とふたりホテルの外に出ると直ぐに
「あ、櫻井くん」
またか…そう思いながら振り返ると
「大野さんも一緒にお出掛けですか?」
さっき写真を撮った子だった。
「あぁ、まぁ…」
タイミング悪いな…
「あの…ご一緒しても良いですか?」
「え?あ、ごめん…それはちょっと無理だな」
「…どうしてですか?」
彼女が悲しそうな顔をしたけど、そんなこと知ったことか…俺にとったら翔を悲しませることの方がずっと心苦しい。
「恋人が悲しむんだよね…女の人と一緒にいると」
そう言うと彼女が驚いた顔をした。
「大野さん、恋人いるんですか?」
「うん、いるよ?なんで?」
「あ…いえ、大野さんに彼女はいないって聞いていたので…」
確かに彼女はいないから間違った情報ではないけど
「そうなんだ…でも、そういうことだからごめんね?恋人泣かせたくないからさ」
「…そんな独占力強い恋人でいいんですか?その内嫌になりますよ?」
「あぁ~、それは無いな…」
「なんでそう言いきれるんですか?」
「だってあいつは何も言わないから…でもわかっちゃうんだよね、今きっとこいつ傷ついてんなぁ、って。その姿を見たくないし…それに俺の方が独占力強いんだ」
彼女は再び驚いた顔をした。
「意外ですね…大野さんってクールな方だと思ってました」
「ん~、俺もあいつと会うまでは自分でもそう思ってたよ」
苦笑いすると彼女もふっと、笑って
「私が入る隙間なさそうですね、お時間取らせてすみませんでした…」
と、お辞儀をしてホテルへ戻って行った。
「さぁ、行こうか…」
翔に向き直ると翔が俺の事をじっと見ていた。あぁ、またこいつは…
「…智さん、俺いいんですか?」
「なにが?」
「このまま、智さんの側にいていいんですか?」
「何言ってんの?当たり前だろ?」
「でも…」
今まで我慢してたんだろうな…翔の瞳に涙が浮かんできた。