第8章 Lovers
「馬鹿だな…そんなの当たり前の事だろ?俺なんて翔狙いの奴何人阻止したと思ってんだよ…お前が嫌な奴なら、俺なんか超嫌な奴になっちゃうじゃん」
翔は、ハッとしたように顔をあげた。
「だろ?だから翔が自分を嫌な奴なんて思う必要ないんだよ。ましてや自分の恋人の情報を他人に教えること無いだろ?今度彼女に何か聞かれたら『智さんには何よりも大切な人がいる』って言えばいいんだよ」
翔は小さく頷いた。
「さ、戻るぞ…バスに乗り遅れたら大変だ」
バスが停まっている所に戻るとニノと相葉と…岡田がいた。
「お帰り~、あれ?翔ちゃん目がうるうるしてる」
「え?翔ちゃん大野さんに泣かされたの?」
「うわっ、ひどっ!こんな可愛い子泣かせるなんて
櫻井くん、大野なんか止めて俺にしときなよ…俺だったらぜ~っ対泣かせないよ?」
「え?岡田さんて翔ちゃん狙いなんですか?」
「おぅ!入社してすぐに目ぇ付けたのに大野に邪魔されたんだよ」
「ほ~、智ってば澄ました顔して最初から翔ちゃん狙ってたんだ」
どいつもこいつもうるせぇなぁ…
「泣かせてねぇし!翔は誰にも渡さねぇよ!」
俺の洋服の裾をくいくいと引っ張り顔を紅くする翔。
「智さん、声大きい…」
ヤバッ、周りをキョロキョロと見回すとみんな各々会話をしてて誰も気が付いていないようだった。はぁ~、こいつらのせいで!
「ほんとに独占力の強い男だな…櫻井くん、こんな奴でいいの?」
「はい、智さんじゃなきゃ駄目なんです…」
そう言った翔の笑顔は可愛くて、岡田なんかに見せたくはなかったけど
「ハァー、そんな顔見せられたらさ諦めるしかないじゃん…」
「残念だったな岡田…温泉に浸かって全部洗い流せ」
ニノが岡田の肩に手を置いた。
「温泉?…そうだ櫻井くん、後で一緒に温泉入ろうね?」
「岡田さんって、ハート強いですね…」
「心身ともに鍛えてるからな」
胸を張って言うな!誰が入らせるかっ!
でも、温泉かぁ…なんも考えてなかった…どうすっかなぁ…