第8章 Lovers
触れるだけのキスで頬を染める翔。
「何度も言わせんじゃないよ、俺が翔を嫌うことは無いって言ってるだろ?」
コクンと頷く翔は子供のようでほんとに可愛い。今、手が出せないのが惜しくてならない。
「ほら、魚煮るから鍋出して。朝早かったから疲れたろ?とっとと作って飯にしよ?」
笑顔を向けると翔も笑みを返してくれる。
「はい…」
食事を済ませ、片付けが終われば後はまったりとふたりの時間。
「来週は社員旅行だな」
「そうですね、俺初めてなんで楽しみです」
「会社の奴等と旅行なんて行ったって楽しいもんじゃないけどな…今度ふたりでどこか行くか?」
「ほんとですか?」
「おう、どこか行きたい所あるか?」
「ん~、智さんとならどこでもいいです」
そんな嬉しそうな顔して可愛いこと言われたらじっとなんてしてられないよ…
翔の腕を掴み抱き寄せた。
「智さん?」
腕の中で俺を見上げる翔…その唇に自分の唇を押し付けた。
「んっ!」
突然のキスに驚いた様子の翔。
「どうしたんですか?急に…」
「急にじゃないよ…ずっと我慢してたのにお前が可愛いこと言うからだろ?」
「可愛いこと?俺何か言いました?」
小首を傾げる仕草が俺を煽る。
「そういう無自覚なとこ相変わらずだな…」
「だって、わからな…んっ…」
全てを言い切る前に唇を塞いだ。今度は触れるだけじゃなくいきなり舌を差し込んだ。
「んんっ…」
何度も角度を変えながら舌を絡め合う…翔の腕も俺の背中にしがみ付くように力が入る。
「はっ、あ…んっ、」
吐息混じりの呼吸に変わりそのままソファに押し倒した。
翔の顔を見れば紅潮して蕩けた表情をしてて…
「翔…キス、上手くなったね…」
そう言うと翔が妖艶な顔して微笑んだ。
「智さんのキスが上手だからですよ?」
きっとまた本人はわかってないんだろうな…その表情と言葉が俺を煽るってことを…