第7章 first mission
和が作ってくれた料理はどれも美味しくて
「和、すげぇ旨い!」
「ほんと?」
「うん、マジうまっ!」
「良かった…大野さんのお陰だよ、ありがと…」
和がほっとした笑顔を見せ智さんにお礼を言った。
「どういたしまして…でも和くん筋が良いから教えるの簡単だったよ?翔くんなんていくら教えても全然上達しないんだから…」
「そうなんだ…翔さんなんでも出来そうなのに」
「え~、潤くん知らないの?翔ちゃんすっごい不器用なんだから」
「マジで?そんな風に思ったことなかった」
「外だとなんでも出来る優等生だったからねぇ、翔ちゃんは」
「意外な弱点知ったな」
「しょうがないだろ?今まで作る必要なかったんだから」
「でもそれって大野さんも一緒でしょ?」
「……だな…」
「智さんなんで料理旨いの?」
「元々自分で釣った魚捌いたりしてたし、レシピ見てそのまま作れば大抵上手く作れるよ」
「翔さんはレシピ見ても作れないんでしょ?」
「…ん、まぁ、作れないな…」
「ふふっ、いいんだよ、俺が翔くんに作ってあげたいの…翔くんすっごく美味しそうに食べてくれるから、俺の料理で翔くんが嬉しそうな顔してくれるだけでいいの」
智さんが嬉しそうに話すのを聞いてるだけでふたりが幸せなんだと分かる。
「なんだよ、人の事ご馳走さまなんて言ってたけどふたりだってご馳走さまじゃん」
「そりゃな、俺たちだってラブラブ度はお前たちに負けねぇよ?」
「翔くん、そんな自慢しなくていいよ…恥ずかしいから…」
智さんがうっすらと頬を染めた。
「え~、いいじゃん、こいつらぐらいにしか話せないんだよ?俺たちのこと」
「それはそうだけど…」
「お前たちだって他で話せないだろ?だからここではなんでも話していいからな?自慢話でも愚痴でも…悩みでも…」
そうだよな…他では話せないんだ、特に悩みなんて誰にも相談できない…
「うん…ありがと、翔さん」
そうお礼を言うと翔さんは微笑んだ。