第7章 first mission
リビングに戻ると既に料理が並べられていた。
「うわっ、すごっ!これふたりで作ったの?」
テーブルにはパスタ、カルパッチョ、フリッター等々想像していたよりもしっかりとしたメニューが用意されていた。
「そうだよ、凄いでしょ?大野さん料理上手なんだよ、俺なんかちょっと手伝ったくらい」
「そんな事ないよ、俺は教えただけで作ったのは和くんだから」
「愛されてんなぁ、潤…前の和からは想像できないよ、誰かの為に時間割くなんてさぁ」
「ありがと、和…それに智さんも」
「味は美味しいか分からないよ?」
和が頬を染めながら言うから
「絶対旨いに決まってるじゃん、和が俺の為に作ってくれたんだから」
「うわっ、食べる前からご馳走さまだな」
「翔くん、からかわないの…ほら座って冷めない内に食べよ?」
智さんが翔さんの肩を押し座らせた。
「和くんと潤も座って?乾杯しよ」
俺と和も座ると翔さんがシャンパンの栓を抜いた。
「はい、潤…グラス持って」
「なんかお洒落だな」
「誕生日だからな、最初の乾杯くらいは良いもん飲ませてやるよ、俺からのプレゼント…後はビールで我慢しろよ」
「ありがと、ビールがあれば十分です」
和と智さんにシャンパンを注ぐと智さんが翔さんから瓶を受け取り翔さんのグラスに注いだ…無言で行われるその行動があまりにも自然で、いつもそうしてるんだろうなぁと羨ましくなる。
「じゃあ乾杯の挨拶は和がして」
「え、俺?」
「そりゃそうだよ、和くんがお祝いしたいって言ったんだから」
「えっと、じゃあ、潤くんちょっと早いけどお誕生日おめでとう…」
「「おめでとー!」」
「ありがとう」
グラスをカチンと合わせてシャンパンを一口飲んだ。
「うまっ!」
「気に入って貰えて良かった、味分かんなかったら金掛けた甲斐ないもんな」
「ありがと、翔さん」
「どういたしまして」
翔さんが優しい微笑みを見せた。
俺に容赦ない態度とったりもするけど、やっぱり翔さんは憧れの存在なんだよなぁ。