第7章 first mission
土曜日、ひとりで翔さんの家に向かった。インターフォンを押すと翔さんが迎えてくれた。
「よぉ、いらっしゃい。上がって」
「お邪魔します」
部屋に上がりリビングに通されると
「いらっしゃい、潤」
笑顔で迎えてくれたのは智さんと
「和…なんで?」
「ごめんね、騙したわけじゃないんだけど、潤くんの誕生日のお祝いしたいなって翔ちゃんと大野さんに相談したら『家使えよ』って言ってくれて、お言葉に甘えさせて貰っちゃった」
「あ、そうだったんだ…和がいると思わなかったからびっくりしたよ」
「ふふっ、サプライズってやつ?ほんとはどこか外でお祝いしようかと思ったんだけど、俺そういうのしたことないから分からなくて…潤くんのこと知ってるふたりに頼っちゃった」
「和が『どうしたら潤くん喜んでくれるかなぁ』なんて聞くからさぁ、俺は和がお祝いしてやればなんでも喜ぶだろって言ったんだけど智が『ホームパーティにして手作りの料理とかどう?』って、提案したんだよ…でもふたりとも実家暮らしじゃ無理だろ?だから家使えよって言ったの」
「ありがとう翔さん、智さん…皆に祝って貰えるなんてすっげぇ嬉しいんだけど」
「だって潤の為に一所懸命悩んでる和くん可愛いんだもん、何か手伝ってあげたくなっちゃった」
「え、それって俺の為じゃなくて和の為?」
「あ、そうかも」
「なんだよ~、喜んで損した~」
「ははっ、嘘だよ。ちゃんと潤のお祝いしようって翔くんと話してたんだから、たまたま和くんから連絡貰ったからじゃあ一緒にやろうって言ったの」
「ありがと~、智さ~ん」
両手を広げ智さんに抱きつこうとしたら翔さんに襟を掴まれた。
「お前は何をしようとしてるんだ?」
「え、お礼のハグ」
「そういうの要らないから…」
「駄目なの?」
「駄目だろ!」
「ちっちぇえなぁ…」
小さく呟いたら
「ほぉ~、分かったよ…」
翔さんが和の方へ歩いて行き和の前で立ち止まった。
不思議そうな顔をして翔さんを見る和。
「和、潤は俺がお前抱いても平気らしい…良かったな器のデッカイ男で」
そう言って和の腕を掴んだから
「ごめんっ!翔さん、嘘です!翔さんは小さくないから、和に手ぇ出すな!」
翔さんは俺の方を向いてニヤっと笑った。
「分かればいいんだよ」
翔さんは相変わらず俺には容赦ない…