第14章 ギャップ
『っえ、なんでですか』
『理由はわからない…………だが、俺にはあいつの目がそういう風に見えた』
『…………』
一気に不安になる。ミケさんの推理といえ、あの鼻のきくミケさんだ。間違ってはないだろう。エルヴィンさんを殺そうとしている。
でも…………あの頭の効くエルヴィンさんの事だ。自分に向けられたものに気づかないことはないんじゃないか。もし、気づいていたとしたら何故わざわざ調査兵団に入れるようなことをしたのか…………
『…………そんな顔するな』
頭に手を乗せてわしゃわしゃと髪を乱してくる。
『俺がいるかぎりエルヴィンは殺させないから……な』
『あっ、ありがとうございます……………ふふ、そのセリフかっこいいですね』
『フッ、そりゃどうも』
そのまま私の前髪をかきあげては額に軽く口付けてくる。一瞬だけ髭の感覚がはしる。
『っ!?な、何を……っ』
こんなことをされたのは初めてだったから少し驚く。いや、かなり驚いた。
『エルヴィンには内緒だぞ、俺が殺されてしまう』