第13章 一匹狼
数日後。
『さて、行ってくるよ』
『エルヴィンさんもミケさんも気をつけて』
『ああ、行ってくる』
ミケさんは私の頭をわしゃわしゃしてくる。
『っわ、』
『あ、こらミケ』
『すまん、つい癖で』
今から地下街に行くとは思えないくらい穏やかな雰囲気で2人は出ていった。
この2人なら大丈夫だろう。信じて待つことにした。
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とは言うもののソワソワしてしまう。
『なーにそわそわしてんだよ』
『トーマス……』
『やっと名前定着してくれたな』
『そわそわしてないよ、大丈夫』
はぁ、とトーマスはため息をついて私の頬をぐいっと引っ張る。
『んあ、』
『エルヴィン分隊長なら大丈夫だって。お前のためなら帰ってきてくれるだろう?』
『………そうだよね、ごめん。』
『ったく、何が悲しくて好きな女の恋人の心配を一緒にしなきゃいけないんだろうな』
以前、エルヴィンさんと付き合ってると告げると応援する、と言ってくれた。そして、『俺はまだ諦めてはないからな。』と頭を撫でてくれた。
『…………ありがとね、』
『な、何がだよ』
『なーんでも』
『アン』
後ろから愛しい人の声が聞こえる。
『エルヴィン分隊長!』