第13章 一匹狼
『驚くだろう?しかも身のこなしが上手いらしいんだ。あの憲兵団から見事に逃げ切っているんだからな、相当のものだろう』
憲兵団は上位10位以内が入れるエリートだ。だから立体機動も上手いはずなのに。
『それはすごいかも。』
『本題に入ろう。私達はそいつを捕まえようとしている。そして捕まえたあかつきには調査兵団に入団させようと思っている。』
『えっ……!?窃盗団ですよ?いいんですか…?』
『…………その、言いづらい話なんだが。教育をきみにして欲しい。』
『私に………?何故です?』
『君はとても成長した。知性もあるし人を柔らかくさせる能力がある。』
『ち、知性はないですしそんな能力だって__』
『私の部屋の本をすべて読んでしまったのは誰だろうか』
それが誰か分かっているかのようにクスクス笑う。
『それに私を変えてしまったじゃないか。だから君しかいない。頼む。』
『分隊長に頭下げられたら断れないです………精一杯がんばりますね』
エルヴィンさんは優しく微笑み私の髪をわしゃ、と乱すとそのまま『ありがとう、』と抱き寄せてくる。
『地下街へはミケさんと行くんですか?』
『ああ、そのつもりだ。ミケがいた方が安心できるしいざとなった時にも心強いからな』
『びっくりするだろうなぁ、こんな男らしい体格の兵士が追いかけてくるなんて。』
『はは、恐怖だろうね』