第13章 一匹狼
『…………アン、言っておきたいことがあるんだが………』
その夜、愛し合ったあと生まれたままの姿で私達は一緒にベッドに横になっていた。その時にエルヴィンさんが口を開く。
『なんですか?』
『ここに地下街があることは知っているな?』
『はい、都にある地下街、ですよね。それがどうかしましたか?』
『最近そこに窃盗団が出る噂があってな。憲兵団が困っているらしい。』
『窃盗団………』
地下街、というと物騒なイメージがあるため、窃盗団と聞いてもそのくらいいるんじゃないか……とあまり気にしていなかった。でも、あの憲兵団が困っているなんて。
『憲兵団というとナイルさんがいらっしゃる所、ですよね』
『よく覚えていたな。ナイルが教えてくれた』
初めて会ったのは私がまだ9歳の頃。つまり、エルヴィンさんとお店に来ていた人の中にナイルさんもいたみたいなのだ。
2回目に会ったのはエルヴィンさんと恋人になり割とすぐの頃だった。
『なぜ、困っているんですかね。憲兵団とても強いのに。』
『なんでもそいつらは3人組で立体機動装置を使っているみたいだ。』
『りっ……』
立体機動装置!?