第6章 マドレーヌ
翔「…嘘つくな」
和「…翔兄…んむっ…!」
翔兄は、険しい顔のまま
僕の頬をムニュっとつまんだ。
翔「…俺には無理、しなくていい…」
和「……」
翔「そんな顔で笑ってる和を、見たくない…」
和「…ひょうにい……」
翔兄は、僕の頬から手を離すと
苦しそうに微笑んだ。
…なんで。
なんで、翔兄がそんな顔するの…。
和「…翔兄」
翔「…ん?…んんっ…!?」
僕は、苦しそうな笑顔を浮かべる
翔兄を見てられなくて、僕は…
翔兄にキスをしていたんだ…。
翔「…和、お前…」
和「ごめん…忘れて…」
翔「…っ!おい…!」
僕は、リビングから出て
自分の部屋に駆け込んだ。
…なんて事しちゃったんだろう…。
僕、翔兄に嫌われる…。
可愛い弟じゃなくなっちゃうよ…。
和「…っ…ふぇっ…ううっ…」
僕の目からボロボロと涙が
溢れてくる。
僕は、ベッドに寝転ぶと
涙をそのままに流し続けた…。
そうしていたら…
翔『…和、部屋に入れて…?』
和「…っ!?」
優しく、語りかけるような声で
翔兄が僕の部屋の前に来ていたんだ…。