第12章 クッサン・ド・リヨン
翔「…す、たぁ?」
『はいっ!そうです!僕は、貴方様の願いを
叶えるために生まれてきたのです!』
そう言って、スターは俺の上を
ぴょんぴょんと飛び跳ねた。
…俺の、願いを叶える…?
本当にそんな事が、こんな小さな彼に出来ると
いうのだろうか。
…う〜ん、いかにも怪しいな。
翔「どんな願いでも、叶えてくれるの?」
『もちろんですよっ!あ、でも…
恋のお悩みに関してならお任せください!
絶対に叶える自信があるのです!』
恋のお悩みに…自信。
信じて良いのかな…。
いや、ここは少しふざけて言ってみよう。
どうせ夢だと思うから…。
翔「じゃあさ、俺…好きな奴がいるんだ」
『ほほう!それはどんな方ですかな?』
翔「同じメンバーの、潤っていうんだけど。
俺の片想いでさ…ねぇ、なんでも
叶えてくれるんでしょ?だったらさ、俺と彼を
両想いにしてよ…」
俺が、そう言うとスターは
困った顔をして、考え込んでいた。
…ほら、やっぱり。
人の想いなんて、魔法でどうにかなる問題じゃ
ないんだもんな。
…ああ、阿呆らしくなってきたよ。
翔「無理だろ?…俺寝るよ」
俺は、そう思ってソファに再び横になった。
目を閉じて寝ようとすると…。
『待ってくだされ!その想いびととやらに
合わせてはくれないでしょうか?」
翔「え…?」
『…ふふふ、僕に考えがあるのです!』
そう言って、にやりと笑うスターは
ちんまりと俺の顔のそばまで来て、蹲って
寝始めた。
…すぅすぅと、小さな寝息が聞こえてくる。
それを聞いていると、俺も眠たくなってきた…。
翔「…ふあ、寝よ」
目を閉じると、すぐに夢の中へと
吸い込まれていった。