第1章 カヌレ
…本当に、綺麗だよ。
桜の花びらが、ひらひらと舞っている中
キミがいるんだから…。
余計に、綺麗だよ…。
智「…翔ちゃん、抱き締めて?」
智くんが、手を広げて
そんな事を言うものだから、俺は
その手を掴んで、自分の方へ引き寄せた。
智「…翔ちゃん…?」
翔「…好き…智くんが…好きだよ」
思わず、口から出た言葉…。
日常でそんなに使わないから、言ったあと
凄く恥ずかしいな…。
でも、言わずにはいられなかったよ。
桜の中に立ってるキミを見たら…。
智「…うん、おいらも好き…。
翔ちゃんが大好きだよ…」
俺は、黙って智くんの唇に
自分のを押し付けた。
智「…ぅんっ…んふぅ…んんっ」
智くんの細い腰を、引き寄せると
はらりと、散った桜を風に浮かせて
智くんのブランケットが、地面に落ちた…。