第1章 カヌレ
翔「…あ、そうだ…。これ、
買ってきたんだ」
俺は、智くんの前に
おしゃれな箱を取り出して見せた。
智「…これは?」
翔「カヌレっていうお菓子だよ…。
智くん、甘い物好きでしょ?」
智「翔ちゃん…」
俺が、カヌレを智くんに差し出すと
智くんは、目をキラキラさせながら
受け取って、ひと口齧った。
智「…ん、美味い…」
翔「でしょ?調べたんだ…。
喜んで貰いたくて」
智「…ふふ。ありがと…翔ちゃん」
智くんは、俺の頬に手を添えながら
微笑んだ。
智「…本当に、綺麗だな〜」
不意に、智くんが立ち上がり
桜の木の下に行くと、後ろにいる
俺に振り返って、手を伸ばしてきた。