第5章 フォンダン・オ・ショコラ
それからしばらくして、
俺は、そろそろとスタジオに戻った。
今は、ドラマの本番中みたい。
相葉くんは、飄々とした
貴族を演じてる。
…普段と違う相葉くんだ…。
こんなに大勢の共演者の方と
演技してるんだもんね…。
…やっぱり、顔も引き締まってるように見える。
俺が黙って、撮影を見守っていると…
監督「…カット!…ここで休憩にしよう」
監督のその一言で、バラバラと
沢山の人がスタジオを出ていく。
…俺も一旦休憩しようっと。
自分も、みんなの流れに任せて
スタジオを出ようとしたら、
突然、肩に手がかかった。
「…ねぇ、君さ…」
翔「…っ!!」
俺は、思わず肩をビクリと揺らしてしまった。
…だ、誰だろう…。
まさか…相葉くん…?
いや!そんな事ある訳…。
ない、なんて言いきれない…!
…どうしよう!
俺、今すごくピンチだよ…!
俺は、怖くて後ろを振り向けずにいた。
すると…。
スタッフ「…一緒にお昼どう…?」
翔「…っへ…??」
その言葉に俺が振り返ると、そこにいたのは
ドラマのスタッフさんだった。
…な、なんだあ…。
食事のお誘いだったのか…。
俺、ビクビクし過ぎじゃん。
馬鹿みたいに…。
俺は、自分に苦笑いして
スタッフさんに笑顔を向けた。
翔「…はい!もちろん良いですよ」