第1章 カヌレ
翔「…お花見、してないでしょ?
だから、しようかなって思ったんだ…」
そう、俺は智くんと2人で
お花見がしたかった。
いつもお互い忙しくて時間なんかないし、
お昼にしてたら混乱を巻き起こす
と思うしね…。
智「…夜桜…だね…」
翔「…本当はライトアップとか、
されてる所に行きたかったけど…
この時期は、人も多いし…」
智「…ううん、ここの桜が一番だよ…
夜に見る桜は…また一段と綺麗だね…」
智くんは、頭上にある大きな
桜の木を見ながら、うっとりと
呟いた。
…キミがそう思ってくれてるのなら
連れてきて良かったよ…。
翔「ちょっとだけ、お花見しよっか?」
智「うん、する…」
俺と、智くんは近くのベンチに腰掛け
桜を黙って見つめていた。