第4章 ヌガー・ド・モンテリマール
『…えー。今年度の予算なのですが…』
淡々と、定例会議の内容が
頭の中に入ってくる。
そんなに今までの会議と変わったことなどないし、
特に目立ったものもない。
…だから、正直…つまらない。
もっと意欲のある奴はいないのか。
自分の会社とはいえ、重要な役職に
就いているのは、俺よりも歳上の奴ばかり。
…頭が固くて、新しいものを取り入れようと
しない。
安定を保っている今こそ、何か進化が
必要だと思うのに。
…まぁ、それももう…。
説得なりなんなりするのが面倒臭い…。
俺が発言する所はして、
あとは部下達に任せて会議は終わった。
智「…はあ。…やっと終わった…」
和「そんな事言っていて良いのですか?…
誰かいるのかも知れませんよ?」
智「別にいい。…俺がここの社長なんだから。
何言ったって、平気だ」
和「随分と強気なのですね…?」
智「…そうでもない…」
会議室に二宮とふたりきり…。
甘い期待なんてしてる訳じゃないが…。
決して、そういう訳じゃないが…!
少し、狙って肩を落としてみる。
こういうのに奴は弱いんだ。
…放っておけないんだろう?
かまってよ…。
今はふたりきりなんだから…。