第8章 ベレ・バスク
俺の隣に立っていたのは、翔…ではなく
翔とは違った美形な男だった。
…こんな綺麗な奴も、いたんだな。
最近、翔の事ばかり考えて
ほかの奴の事なんて、気にもしていなかった。
智「…どうぞ」
「どうも…」
その男は、猫みたいなしなやかな
雰囲気を纏っていて、一見近寄り難い感じだ。
…翔が可愛い系なら、こいつは…。
綺麗系、ってとこか…?
「…お兄さんさ、最近ずっとココに
来てるよね…?」
智「…ん?…ああ、まあな」
「…誰か狙ってるの?」
智「…狙ってるってか…待ってる…かな」
「…へぇ」
そいつは、探偵みたいに
俺に根掘り葉掘り聞いてきた。
名前や、職業、歳…。
その他諸々…。
智「…お前、名前は…?」
「…あ、言ってなかったね。…俺はね
潤、って言うんだ」
智「…潤、ね」
潤「…そうだ、誰待ってるの?」
智「…え?」
潤と名乗ったソイツは、さっき俺が
言ったことが気になるみたいで、
キラキラした目で俺に聞いてきた。
…翔の事は、言っても良いのか?
まあ、別に困る事…でもないか。
智「…翔、っていう奴だよ」
潤「…ああ、翔ね…」
智「…知ってるのか?」
潤「もちろん、友達だから」
意外な所に、翔に繋がる人物が…。
これは翔について知れるかもしれない。
智「…あのさ」
潤「翔の事、知りたい?」
智「…っな」
俺の言うことが分かっていたかのように、
潤は、にやりと笑って俺に言った。