第2章 大人の二人
トド松はニヤニヤと笑いながら言葉を発した
ト「一之瀬君?最近会うとか言わないし、話聞かないから別れたのかと思った」
カ「そんな訳ないだろ。今日夕飯いらないってマミーに伝えておいてくれ」
言いながらトド松の脇をすり抜ける
ト「はいは~い、ついでに帰ってこないかもって言っといてあげるね」
カ「・・・」
期待している自分を見透かされたようで、恥ずかしくなる
ト「カラ松兄さんってわかりやすいね」
思わずサングラスをかけて、視線を隠す
カ「フッ、クールな俺がそう易々読まれるわけないだろ」
ト「はいはい、早く行きなよ」
呆れ顔のトド松に見送られ、出かける準備をするために階段を上がる
『別れたのかと思った』
先程トド松に言われた言葉が頭を過ぎった
さっきは会える嬉しさで舞い上がっていたが、もしかして今日・・・
そんなわけない
もしそうなら彼の性格上、最後に会うなんてしないだろう
嫌な考えを振り切るように頭を振る
気にしない様にし、準備を終えて玄関を出た
煌の家に1番近いスーパーに入る
カ「洋食か・・・オムライスにするか」
サラダとスープも作るか
あとは・・・どこかで『アレ』も買っておこう
一通り買い物を終え、煌の家の玄関前に立つ
手には鍵
初めてこの扉を開ける、緊張するな
ドクドクと煩く鳴る心臓
ゴクリと唾を飲み込み、ゆっくり鍵を差し込み回した
そっと扉を開け中に入る
物を置くのがあまり好きじゃない彼らしく、片付いた玄関に掃除が行き届いて綺麗な部屋
荷物を置いて深呼吸をすれば、嗅ぎ慣れた煌の匂い
この匂い好きだな・・って変態か、俺
・・・身体は正直だ
久々の煌の匂いに反応しそうになる
どうにか鎮めて夕飯の支度を終える頃には日が傾き始めていた
洗濯物干してあったな、取り込んでおくか
畳むがどこにしまうか分からないから、一先ず置いておく
あとは煌が帰ってくるだけ
一息つこうとソファーに体を沈ませる
そのまま意識を手放していた
どれ位寝ていただろうか
メッセの着信を知らせる音で起きた
『煌:帰る』
たった一言だが、律儀に送られてきた文字を見つめる
カ「なんだか本当に夫婦みたいだな」
胸を高鳴らせ、愛しい人の帰りを待った