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【男主】愛のウタ【カラ松】

第2章 大人の二人


side.カラ松

高校を卒業して数年、俺は兄弟共々ニートになっていた
今日も鏡を見つめる
己を磨き、高めるための大事な日課だ

金欠なのが欠点だが、自由を謳歌出来るこの状態は悪くない

よって今の俺に不満は『ほぼ』ないのだ

・・・・あるとすれば煌のことくらいか

彼は高校卒業と同時に働き出した
のはいいが、やりたいことがあると、がむしゃらに仕事をしているようだ

愛の営みは疎か、デートすらまともにしていない
たまに電話やメッセでやり取りするくらいだ

カ「はぁ」

コトリと手鏡を脇に置いて机に突っ伏す

正直、欲求不満だ
煌といっぱいイチャイチャしたい、エッチしたい
煌は平気なのだろうか・・・俺に飽きてしまったのだろうか

カ「会いたい、な」

マイナス思考のせいで涙が出そうになるのを耐え呟くが、誰もいない居間に虚しく響くだけ

瞬間ちゃぶ台に置いてあった自分のスマホが震えた

画面には『煌』の表示
素早く手に取り通話状態にする

カ「も、もしもし!」

『俺だけど、今大丈夫か?・・・つか声でかい』

つい連絡来たのが嬉しくて、勢いよく出たからな
そして、今大丈夫かなんて時間を持て余してる俺には愚問だ

カ「すまん、大丈夫だぞ。どうしたんだ?こんな時間に。珍しいな」

『今日何か予定あるか?』

フッ・・・ヴィーナスが微笑んだな

カ「何もないぞ」

『なら、俺ん家で晩飯作っといて。カラ松の手料理食いたい』

まさかのお願い
でも煌の家に行ける、会える
その事実だけが今の俺を支配していた

カ「任せておけ、何がいい?」

『洋食』

カ「分かった、簡単な物でいいか?」

『あぁ。鍵、渡してあったよな?』

去年、煌は引っ越しをした
彼一人が住むには広すぎる、一般家庭が住むようなマンション
その鍵を俺に渡してくれていた・・・使ったことはないが

カ「あぁ、持ってる」

『ならいいな。あ、冷蔵庫ん中あんまないかも』

カ「そうか。買い物していくか」

それくらいの余裕はあったはず

『ん、じゃ、また後で』

カ「あぁ、それじゃあ」

言うとプーップーッと電子音が響く
切るの早いな、もう少し声聴きたかったのに

とりあえず買い物からだな
立ち上がり、振り向くと廊下に繋がる戸にトド松がいた



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