第6章 これからは
カ「さっきおそ松と何話してたんだ?」
どうしても気になった
わざわざおそ松が1人で近付いて話すなんて
「あ~・・・・ちゃんと2人で幸せになれってさ。それと、カラ松のこと泣かすなよって」
カ「な・・・あいつ」
「こんなん最初で最後かもって言いながらさ。いい兄貴だな」
普段からそうならいいんだが
しかし流石と言うべきか、ここぞという時にはやる奴だな
そんな話をしてる間も車は颯爽と走って行く
カ「そういえばどこ行くんだ?」
「内緒」
そのまま答えてもらえず、随分と町外れまできてようやく停車した
「行くぞ」
着いて早々、車を降りて行ってしまう煌
慌ててそれに付いていく
カ「ここ・・・教会、か?」
「そ」
短く答えて彼は重そうな扉を開けた
手を繋がれ並んで中央を歩いて行く
「ここ、熱心な信者が日曜にミサに来るくらいでほとんど使われてないらしい」
心地よい彼の低音が広い教会内にこだまする
なんでそんなこと知ってるんだとか疑問はあったが、目の前に広がるステンドグラスに目を奪われ問うことができなかった
主祭壇の前で足を止め、煌がこちらを向いた
「難しい言葉とかよくわかんないけど」
ポケットから何かを取り出す
「この先ずっと俺の隣にいてほしい」
そう言って俺の左手を取り、エンゲージリングを外す
そしてそのまま薬指に何かを嵌めた
カ「これって」
「本当は一緒に選ぼうと思ったんだけど・・・驚かせたかったから」
ハラハラと涙が零れる
煌の前では泣いてばかりだな
「ね、俺にも嵌めて」
言いながら差し出された指輪
涙でぼやける視界を拭い、それを手に取る
カ「この先ずっと煌の隣にいさせてくれ」
そう告げて同じように煌の左手薬指に指輪を嵌める
なんだか気恥ずかしくて顔が見れないな
そう思っていると彼の手が俺の顎を捉えた
そのまま上を向かせられ、チュッと軽く触れるだけのキスをされる
「誓いの、キス」
呟きながらフワリと微笑む煌
拭ったはずの涙が再び溢れだした
「泣き虫」
カ「だっ・・れの、せい・・・だと」