第6章 これからは
「嬉し涙ならこれからもたくさん流せばいいよ」
やんわりと抱き寄せられる
ずるい、優しい声でそんなことを言うなんて
ゆっくりと煌の背中に腕を回す
カ「悲しみの涙、流させないでくれよ?」
「・・・努力する」
カ「ン~?」
「ま、二人でなら大丈夫でしょ」
どこからくるのか分からない自信に思わずクスリと笑いが漏れた
「・・・なに」
カ「いや、煌らしいと思ってな」
「俺カラ松がいればなんでもいいし」
そんな言葉に喜んでしまう俺も相当だな
そんなの
カ「俺もだ」
抱き締め合いながら額を合わせ、微笑み合う
こんなにも幸せでいいのだろうか
そんな思いはちっぽけだと、そう感じてしまうほどステンドグラスが夕日に輝いていたのだった・・・・
辺りが暗くなり始める頃、煌の家へと到着する
カ「お邪魔します」
そういうと、後ろでフッと小さく吹き出すのが聞こえた
「今日からあんたの家でもあるんだけど」
カ「え、あ、そうだな・・・・た、ただいま」
そうか、今日からここで暮らすんだな
プロポーズされて心の準備をしていたはずなのに
「ちょっとずつ慣れればいいんじゃない」
見透かされたようで驚いたが、フッと心が軽くなった
カ「あぁ。ありがとう、煌」
「ん?」
カ「いや・・・こっちの話だ」
どう言葉にしようか迷ったから背中から抱き付いた
煌の胸元へ回した手に、彼の手が重ねられる
カ「これからよろしくな」
「あぁ」
あっけない始まりから数年
今、新しい関係が静かに始まりを告げるのだった