第2章 男は皆・・・とは言うけれど
「は?」
「間、あきすぎじゃね?」
まさかの誘い。先程抱きしめられた事で内心いっぱいいっぱいだと言うのにそんな事を言われたら間があくのは仕方がない。
「い、いや、いや、いや。」
「どーせ、ばれねーよ」
早く決めろと言わんばかしの荒北。ばれるばれないの問題もあるが
「先輩との方が危ない気がします」
なんて言えば、
「それ助けてやった奴に言うことか!」
と一言。それでも渋っていたら荒北は諦めた様にため息をつき、
「とりあえず行くぞ」
「・・・・はい」
荒北が寮から借りてきたと言う自転車の後ろに乗せてもらう
「先輩・・・」
「あ?」
「女子寮は逆ですよ?」
「知ってんよ」
「逆です!!」
「だーかーらー!知ってるって!!」
これはまずい、乗る前に女子寮へと説明したはずなのにと無理やり降りようとすると荒北が「乗っとけ!」と言ってくる。確かにこんな山道で置いていかれるのもごめんだ。
「何もしないなら行きます!」
「何ってなんだよ」
と笑う荒北に
「じゃぁ着いたら自転車貸してください。それで女子寮行きます」
なんて強気で返すとめんどくさいと言う顔をして
「わーったよ。てかお前なんかに何もしねーよ」
と言うので半信半疑で後ろに乗り直した。
男子寮に着くと難なく入る事が出来、あっという間に部屋に通された。警戒心から立ち尽くしていると、
「早く入れよ」なんて言われ、返事をしようとした途端、噂が流れるのは早い様で新開、福富、東堂が
「名、お前さんよりにもよって靖友のとこ来ちまったのか」
「話は泉田から聞いた。大丈夫だったか?」
「名ここは危険だぞ!いかがわしいものだらけだからな!なんなら俺の部屋に来ると良い」
と、入ってくるなりそう言った。やっとドアが閉まったと思うと泉田と黒田がいて
「こっちに来ると返信にあったから。大丈夫だった?」
「ま、こっちの方が危ねー気するけどなー」
「おい、黒田なんか言ったかぁ!」
いえなんて笑いとばす黒田。名が礼を言うと2人は何かあったら言ってくれと、何事もなくて良かったと部屋を出た。