第3章 無名
「名」
「はい?」
荒北が名をよぶ
「その、なんだ」
「荒北先輩?」
頭をガシガシかいて何か言いたげな荒北
「また何かあったら呼べ」
「・・・・・先輩、言いたい事はそれだけですか?」
すると荒北は目をかっとひらき
「先輩にたいする態度かお前・・・・」
自意識過剰なのは重々承知だ。
「先輩、私、荒北先輩の事」
最後まで言わずにいると
「名、次からも俺を呼べ」
「え、あ、はい」
すると頭をがしっとつかまれ
「お前が好きだ」
「・・・・・はい」
「付き合うとかはわからねー」
「分かってます」
「けど、他にやりたくねー」
「私も行く気ないです」
周りは人だかり、けれど、そんなのは気にならない。
「付き合え」
「はい」
休日、きっと学生とかもいる。けれど、そんなのは気にならない。私たちだけしか見えない。
「ふん。こんな事なら昨日襲っておけば良かった」
「そしたら私は付き合ってませんよ」
狼のくせに、飼い慣らされてるのかきちんとしてる狼の貴方。そんな貴方が良いのです。
「好きだ名」
私もです荒北さん。
end