第3章 ほんとの君は…?
大好きなキラキラの笑顔…
私の名前を呼ぶ声…
繋いだ手の温かさ…
全部が
私が始めて手に入れた大切なもので
全体に失いたくない
宝物だったのに…
どうして失うのは
一瞬なんだろう…?
追いかけて
すがりつきたいのに…
足がすくんで
動くことさえ出来なくて…
「いや…だ…いかない…で…
むら…か…みさん…いや…だ…」
泣きながら
そう言って地面に座り込む私を
ふわりと優しい腕が包み込む…
「どこまでもあほやなぁ…お前は…?
素直に言うたらええのに…」
「だって…
村上さんは…優しいから…
きっと私を守ってくれようとする…
それを解ってて…巻き添えになんか
できません…」
「お前はひなを守って…
ならお前は…?
お前のことは誰が守ってくれんの…?」
「私は…強いから…」
「どこがやねん!
強がりが痛々しくて見てられへんわ…
俺が…守るから…
俺がお前のこと守ってやるから…
やからもう泣くな…」
私をまっすぐに優しく見つめる目に
「すばるが…?」
そう呟くと…
「"俺が"や…
ありがたいやろ(笑)」
なんて笑って私の頭を撫でる…
「友達…だから…
そこまでしてくれるんですか…?」
そう言った私にも
「今はそういうことに
しといたるわ(笑)」
渋谷さんは
そう言ってまだ渇かない私の涙を
抜くってくれて…
そんな優しすぎる友達の腕の中で
失ったたものの大きさに
胸が張り裂けそうで
私は今まで流したことのないほど
たくさんの涙を溢した…