第3章 ほんとの君は…?
朝目を覚ますと
渋谷さんはもう出掛けた後で
重たいからだをゆっくりと起こすと
テーブルの上に置かれた小さなメモが
目に入る…
"仕事に行ってくるからゆっくりしとけ…"
そんな短い一文に隠された
不器用な優しさが嬉しくて…
"ありがとうございます"
そう小さく呟いくと
なんだかふんわりと優しい気持ちに
包まれる…
そんなほんわかした気分の中
そういえば仕事…
無断欠勤してしまった…(汗)
なんてことを思いだして
クッションの下に放り込まれたままの
スマホを拾い上げ確認すると
店からの着信の他に
村上さんからの着信が3件と
未読のメールが2件入っていて…
手短に店へ無断欠勤の謝罪の電話を済ませ
大きく息を吐き出し
メールを1つづつ開いていく…
一件目は
夜中の着信のすぐ後に入っていて
『電話でれんくてすまん…
なんか大事な用事やったんか?』
そんな短いメールで…
2件目は
いつも村上さんがお店に来る時間に
入っていて
『何でお前店休んでんねん?
昨日から連絡も取れへんし…
何かあったんか…?
今日もまだ連絡してこんかったら
家まで行くからな!?』
そんな私を心配してくれてる内容に
胸がチクチクと痛み感じる…
逃げてたってどうしようもなくて
ちゃんと話をするべきなのは
解ってて…
今だって私は…
村上さんのキラキラの笑顔が
恋しくて仕方ない…
でももし話をして
"もうええわ…"
そう言われたら?
私に向けられるキラキラの笑顔を
この先永遠に失ってしまうとしたら…?
そう思うと怖くて
どうしても踏み出す勇気が
出てこないんだ…