第1章 暗く淀んだ世界
村上side
"ここが私の家です"
そう言って花が立ち止まったアパートは
お世辞にもきれいとは言われへん建物で…
"和風であじのあるアパートやな(笑)"
そうとっさに言うたものの
たぶん顔はドン引きしてたんやろな…(笑)
でもそんな俺の顔を見て
「正直にぼろアパートって
言って良いですよ(笑)?」
なんて花は
出会ってから初めて笑顔を見せる…
初めて見た花の笑顔を
ぼんやりと見つめていると
「村上さん……?」
なんて俺の名前を呼び
花は不思議そうに首をかしげる…
「ん…?おぉ…すまん…(笑)
ちょっとぼぉっとしとったわ(笑)」
あかんあかん…(笑)
いつかは見て見たい…
そう思ってたのに
いざ目の前で花が笑ったら
やけに心臓が騒がしいやないかい…(汗)
だから仕方なく
ずっと見たかった花の笑顔から
目をそらし
なぜだか騒がしくて
落ち着かない俺の心臓に
夜の冷たい空気を
目一杯吸い込んでやった…(笑)