第1章 暗く淀んだ世界
「そこら辺適当に座っといてええよ(笑)?」
そんな言葉をかけられても…
有無を言わさず
連れてこられた350円男の家は
私みたいなプチ引きこもり女が
住めるような家ではなく…
あなたはどこぞの金持ちですか…?
そう聞きなくなるような
広いマンションで…
大きなソファーに
大きなテレビ
男の人の家なのに無駄に綺麗すぎる部屋…
この部屋のどこにも…
私が座って良さげな場所なんて
見当たらない…(汗)
だからキッチンに立ち
なにやらごそごそと動いている
350円男にゆっくりと近付き
「あの…」
そう遠慮気味に声をかけると…
「おぉ…コーヒーもうすぐ出きるから
そこのソファーにでも座って
待っといて…(笑)?」
なんてあまりに無垢な笑顔で
振り返るから…
喉まで出かかっていた
"帰ります!"の言葉は…
「ありがとうございます…(涙)」
の言葉に否応なしに変換されて
私は肩を落とし
高そうなソファーに腰を下ろす
はめになった…(涙)