第9章 帰還
「はぁ?てめぇ……何言ってんだ」
「違う!違うの!!別に変な意味じゃなくって……その、無理やりとかじゃないよね?って思って」
つまり、合意の上か否か?という事が聞きたいのだろう。しかし、それならばもっと違う言い方もありそうだが。
「無理やりではなさそうだったが……お前、聞き方に気を付けろ」
「他にどうやって聞くのよ。『その2人合意かなぁ?』なんて聞いて、リヴァイ答えられる?」
「まぁ、それも一理あるな」
確かに、第三者からしてみれば『良さそうかそうでないか』という事しか分からない。確かにそうなのだが……やはり他に聞き方はないものか。そんな事を考えていた。
次の言葉を聞くまでは。
「皆、自分を保つのに必死なんだよ」
ぽつりと呟いたエマの言葉。そして彼女の表情にリヴァイの胸がドクンと波打つ。
……とても。とても悲しい顔をしていたから
「リヴァイ、持ってかれちゃ駄目だよ」
激しいぐらいの風が、彼女の髪を揺らす。
「何か吐き出したい事がある時は、私でよければ何でも聞くから……だから、私の所に来て」
「お前、また何言って……」
そこまで言って、口を噤んだ。
彼女の表情は真剣そのものだったから。
「分かった」
そう、伝えた。